270.ハンクス石 Hanksite (USA産)

 

 

ハンクス石−USA、CA、シアレス・レイク産

 

一見、くすんだ両頭水晶のようだが、どことなく方解石に通じる暖かみがあり、手にとると軟らかい触感がある。また標本によって天辺に平らな六角面が見えることもある。これがハンクス石で、カリフォルニア、サン・ベルナルディーノ郡の干上がった塩湖、シアレス・レイクで発見され、1885年、ヘンリー・ハンクスに因んで命名された。
この産地では、岩塩ほう砂、トロナ(ツロナ/天然ソーダ)などと共産する。いずれも蒸発残留物として生じる鉱物だが、ハンクス石やほう砂は、まず岩塩が結晶化した後で、さらに水分の蒸発が進んでから姿をあらわすのが普通である。
化学組成は、KNa22(SO4)9(CO3)2Cl。硫酸イオンと炭酸イオンの双方を持つ(このような鉱物は数えるほどしかない)、珍しいハロゲン化物だ。舐めると塩からい。

私は本鉱について予備知識を持たずに標本を買ったので、最初のうちはそのまま引き出しに蔵っていた。1年ほど経ってから、「保存にはオリーブオイルを塗っておくべし」と知った。あっ!と思って標本を確かめたが、時すでに遅し。表面に真っ白い粉が吹いていた。ハンクス石は湿気に弱いのだ。とりあえずティッシュで拭いて新鮮な面を出し、ヴァージンオイルを塗っておいた。それから8年ほど経つが、まあまあ無事に保っているようだ。オイルの腐敗が心配であれば、無機オイルを選ばれたし。要は空気接触を断つこと(でも、水に漬けてはダメ)。買った標本商さんには、その後ちゃんと保存方法を伝授いたしました。

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