298.天藍石2 Lazulite (パキスタン産)

 

 

天藍って感じの緑がかった藍色の結晶。ニート!

ラズライト -パキスタン、北部地方、ララ鉱山産

 

No.227に各地の天藍石を載せた時はまだ知らなかったのだが、しばらく経って、海外のショーレビューにパキスタン産の本鉱が出ているのを見つけた。待つこと数ヶ月、そのコ(の同類)が日本のショーにもやってきた。藍が淡いめで、緑色を帯びた独特のカラー。とんがり三角状の25ミリほどの美結晶。周りの愛好家が目をかける気配はなかったが、私としては、おお〜!って感じで、めでたくご縁を頂戴した。
やはり軽々しく「世界最良の産地」なんて言葉を使ってはいかん。どんな素晴らしい標本が、どんなところから出てくるか分からない。

追記:後に知った情報によると、産地はギルギットとスカルドゥ地方の境界にある標高 6,985m のライラ山の近くのライラ・キャンプと呼ばれる土地であるらしい。この山を目指す登山家が基地に利用する平坦な場所だという。
一般的な天藍石はやや醒めた暗い藍色だが、ライラ・キャンプの本鉱は幾分緑がかっており、黄緑色を呈する部分もある。1998年に初めて採集された時、ウィーン自然史博物館がX線回折試験を行って種を判定したが、その色あいのため、疑問を呈する向きもあったそうだ。
出回った標本の数はさほど多くないようだが、透明感のあるシャープな結晶はやはり例外的に素晴らしいものと言わねばならない。(2020.12.30)

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