299.ショルツ石 Scholzite (オーストラリア産)

 

 

ショルツ石の大盤振る舞い〜。

ショルツ石 -オーストラリア、SA、フランダースレンジ、リープフック・ヒル産

 

カルシウムと亜鉛の燐酸塩2水和物。
亜鉛に富む燐酸ペグマタイトに初生鉱物として生じることもあるが、別種の(水和物でない)燐酸塩が水分の豊富な環境で風化されて二次的に生成する場合が多いようだ。原産地であるドイツのハーゲンドルフがその例で、フォスフォフィライトをはじめさまざまな希産種とともに産出する。
上の標本は近年市場でよく見かけるオーストラリア、リープフック・ヒル産のもの。褐鉄鉱質の母岩に白色透明の結晶が放射柱状に群生しており、希産鉱物とは思えない大盤ぶるまいだ。こちらも二次生成で、まだ見たことはないが、やはりフォスフォフィライトを伴うらしい。

ちなみに成分が同じで結晶構造を異にするパラショルツ石(単斜晶系)もハーゲンドルフが原産地。記載はショルツ石(斜方晶系)に30年遅れたが、これは単に気づかれなかっただけで、実際には両者は結晶中にラメラ(薄層状)構造をなして共存しており、ショルツ石のあるところ、どこにでもパラショルツ石が含まれているという。

補記:リープフック・ヒルは本鉱標本の一手卸し的存在で、1974年頃から市場に出している。ショルツ石は概ね無色透明だが、黄色やライムグリーン、赤褐色がかったものもある。柱状結晶の頭部は山形になっているものと平坦なものとがあり、異極晶なのだろう。前者は「ローマの長剣」風と描写される。理想組成 CaZn2(PO4)2・2H2O。共産鉱物に異極鉱、タービュット石、カルコファン石、菱鉄鉱、クリプトメーレン、コーリン石などが報告されている。

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