エモンズ石またはエモンス石。鉄のテルル酸塩２水和物で、うにょうにょした苔色の結晶集合体をなすことが多い。

原産地はアリゾナ州のトゥームストンであるが、どこの鉱山から出たのかはっきりせず、模式標本は実はロダルキラー石（エモンズ石の成分に水素と塩素が加わる）だったのではないかと疑われている。ただ後になって本物のエモンズ石が近場で確認されているので、そちらが本当の原産地だったかもしれない。あるいは「瓢箪から駒」というべきか。

上の標本はテルル鉱物の宝庫モクテスマ産。かつては大量に採れたらしい。この産地では、テルルを含む黄鉄鉱鉱床の上部酸化帯にテルル二次鉱物が百花繚乱しているという。でもエモンズ石は花というより、やっぱり苔が生えているようにしか見えない。

cf. No.219 テルル石