346.コルネット石 Cornetite (コンゴ産)

 

 

クリソコラを覆うドルース状のコルネット石 
−コンゴ、ルブンバシ、コンゴの星鉱山産

コルネ石の単結晶と放射状結晶集合 (粘土質母岩)
−コンゴ、シャバ、コンゴの星鉱山産

 

スター・オブ・コンゴ(エトワール・デュ・コンゴ)は1907年に開かれた歴史的な鉱山で、カタンガクレッセントにおけるコバルト生産の事始めである。カタンガの鉱床は主に硫化銅や硫化コバルト(カロール鉱)で形成されているが、風化により分解して硫酸酸性の溶液を生じ、それが岩床の苦灰岩と出逢って二次炭酸塩(孔雀石や菱コバルト鉱)を作り、珪質岩と出逢ったときには、クリソコラやプランカイト、シャッツカイト、ダイオプテーズ等の珪酸塩を作り出すという。
その際、硫化コバルトは硫化銅よりも風化の進行が早いため、銅鉱が後まで残る傾向がある。言い方を変えると、銅/コバルトの二次鉱物が生成される時、その成分を供給する鉱液中にはつねにコバルトイオンが銅イオンよりも多く含まれている。そして風化が進んで硫化コバルト鉱がなくなると、後は銅の二次鉱物だけが晶出することになるわけ。

コルネット石は、Cu3(PO4)(OH)3 の組成を持つ銅の二次鉱物である。1917年、ベルギー人の地質学者ジュール・コルネ(コルネット)に因んで命名された。高度の風化を受けた硫化鉱床の酸化帯に見出される。
上の標本はクリソコラ上にコルネット石の微結晶がドルース(晶脈)をなすもので、色彩的に華やかな取り合わせ。
下の標本は単結晶と結晶が花びら状に展開したもの。母岩は微粒粘土質の砂岩で、干上がった湖底に晶出したものという。コルネット石といえば、やはりこの花びら。これぞコンゴの星。

補記:ロゼッタ・タイプの標本は 1984年頃から、ドルース・タイプは 1990年代後半から市場に出回るようになったという。

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