363.珪灰石 Wollastonite (USA産)

 

 

ウォラストナイト −USA、NY、バルマット、ZCA#4鉱山産

珪灰石 −マダガスカル、アンチラーベ産

 

珪灰石(ウォラストン石)は、スカルンや接触変成岩中に普通に見られる鉱物である。化学反応的にカルシウムと珪酸の化合物として扱うことができ、中間反応を飛ばすと、
     CaCO3 (石灰岩)+SiO2 (花崗岩マグマなどから供給される珪酸)
        ⇒CaSiO3 (珪灰石)+CO2 (炭酸ガス)
のように書ける。
耐火物の原料として有用で、地域によっては変成岩の主成分をなすため、採掘も容易に行われている。
珪灰石はたいてい三斜晶系の結晶構造をとるが、単斜晶系その他の同質異像(ポリモルフ)鉱物も知られている。

下の標本はマダガスカル産で、繊維状の結晶が束になって折り重なっている。輝石ホルンフェルス相に属する広域変成岩中の石灰岩レンズ中に生成された、いわゆる変成スカルン鉱物。結晶は力がかかるとやや撓む性質があり、割れると先が鋭く尖る。手に刺さるとイタイ。

cf. No.798 補記2


次の画像は、このページを最初にアップしたときに使用していた標本ですが、後に透閃石であることが判明しました。砂粒状の崩れやすい白色方解石〜苦灰岩中にこのような結晶形で産します(⇒Lapis誌のマダガスカル特集号にも、Tremolite として母岩付の標本が掲載されています。)。アメリカのある標本商さん経由で市場に出回ったということですが…、あるいは未だ珪灰石として扱われている可能性がありそうですので、参考のためしばらくこのまま掲載しておくことにいたしました。コメントは最初にアップしたときのものを2分割しました。それで少し体裁がヘンですね。

 

ウォラストナイト(仮晶?)  透閃石 
- マダガスカル、フォート・ドーフィ地区産

この標本は京都のさる老舗鉱物店で求めた。珪灰石の標本は、繊維束−扇状の集合体が普通で、このような大きな(数センチ長)平板状〜柱状結晶は珍しい、というか奇妙である。が、お店の方に確認すると、珪灰石に間違いないというので、参考のため入手した。リチア輝石(スポジューミン)の仮晶かと思うのだが、どうだろう?

鉱物たちの庭 ホームへ