366.ノゼアン Nosean (ドイツ産) |
ソーダライトグループのひとつ、ノゼアン。その名はドイツ、ラーハー湖地域の自然を研究した、カール・ヴィルヘルム・ノーゼ氏に因む。古い和名に黝方石(ゆうほうせき=あおぐろい方形結晶をなす石)といい、無色〜淡灰色〜暗灰色の結晶粒状で同地域の火山岩中に産出する。
ソーダライト Na8[(AlSiO4)6Cl2] の塩素の代わりに硫酸基が入ったのがノゼアン Na8[(AlSiO4)6SO4] であり、さらにカルシウム(2価の陽イオン)を含むため、より多くの硫酸基(2価の陰イオン基)を篭めて電荷を補償しているものがアウインにあたるといえる。
ノゼアンは成分、結晶構造ともアウイン(藍方石)に似ており(ソーダライト−ノゼアン−アウインは3成分系の固溶体をなす)、肉眼で区別するのは難しい。(参考 No.254藍方石)
本鉱については、数年前、六甲ミネラルさんが「アウインとサニジンを求めて」という素敵な読み物をインターネットで公開された中に詳しい記述をなされた。この内容は現在、「地学同好大阪石友会」のサイト内で再公開されている。
Note: サワビーのExotic Mineralogy Tab.94 に Spinellane スピネーレンの名で参照されている。スピネルに類似だが別のものとして扱われ、ノーゼとアウイの観察が詳しく述べられている。当時はラーハー湖辺に特有の鉱物と考えられていた。