412.ローズクオーツ Rose Quartz (マダガスカル産)

 

 

rose quartz

ローズクオーツ -マダガスカル産

 

マダガスカル産のローズクオーツ。丸く磨くと6条の星彩が現れることで有名。この効果は微小なルチルの結晶を無数に含むためといわれる。澄明な石英でありながら、どこか春の空のように白っぽく霞みがかってみえるのは、そのモナドが極微の燦光を撒き散らしているからだろう。互いに120度(60度)に交差しつつミクロの世界で整然と連なるルチルの煌きは、カボッションにカットされると極点に集中して、絹糸のように銀狐の尾のようにノロイのように白い箭となって、視るものの心を射るのだ。
それは薔薇の海に浮ぶ光脈で、背後から光が透過する時にもっとも明るくほとばしる。スターサファイヤやスタールビーが反射光によって顕れるのと好対照だ。

ローズクオーツの薔薇色は少し前まで、やはりルチルに起因するものと考えられていた。しかし最近の研究によると、各地のペグマタイトに産する塊状の本鉱は、いずれもデュモルチェライトに似た鉱物の繊維状微小インクルージョンによって着色されているということだ。
マダガスカル島はデュモルチェ石の大産地だから、いかにもありそうなことに思えるが、しかしこの石自体、本来無色の珪酸塩であって、青〜紫色を呈するのは微量に含まれるチタンや鉄分の影響と考えられているから、やはりどこかでチタンなりルチル(酸化チタン)なりが関与しているのではあるまいか?
またデュモルチェ石のピンク色なら、上の標本のような淡い桜色ではなく、いくらか赤紫の差した翳りある薔薇色になるべきなのではないか。うん、頑固者。
いずれにしても、マダガスカルは現今、ブラジルに並ぶローズクオーツの世界的産地で、パワーストーン三千世界を薔薇色に包み込んでいる感じがする。

備考1:「デュモルチェ石に似た鉱物」は、未確認の新種である可能性も。
備考2:自形結晶を作る紅水晶の色は、燐によるカラーセンター効果とみられている。(⇒薔薇の名前
備考3:ラピス誌マダガスカル特集によると、マダガスカル産の星彩効果もデュモルチェ石に起因し、ルチルは関与していない可能性がある。

鉱物たちの庭 ホームへ