437.セラン石2 Serandite (カナダ産)

 

 

エジリン(黒色)、微斜長石(白色)を伴うセラン石
−カナダ、モンサンチラール産

セラン石の微晶群−カナダ、モンサンチレー産
 

セラン石はペクトライトの類縁鉱物である。カルシウム分の一部がマンガンに置き換わってピンク色になったものが Schizolite スキゾライト(亜種名)、過半を置き換えたものが Serandite セラン石 Na(Mn2+,Ca)2Si3O8(OH) で、この連続的な成分置換に伴い結晶格子間隔が次第に狭まってゆく。

ペクトライトが普遍的に分布するのに比して、セラン石の産出はわりと珍しい。最初の記載標本はアフリカ、ギネアのロウマ島で採集されたへき開片、採集を手伝ったセラン氏に因んで命名された(1931年)。 標本は現在のところ、カナダのモンサンチレーが一手卸元といえそうで、長さ20cmに及ぶ立派な結晶、ジェムカットに適する透明なサーモンピンクの美晶、雪白の方沸石を伴う芸術的な標本等が知られている。
ほかにも産地がいくつかあり、日本でも長さ10cmに及ぶものが出たと記録にあるが、見かける機会はほとんどない(まあ、私の国産標本の知識もないに等しいのだけども)。 

モンサンチレー産はほぼ端成分に近い純粋なもので、マンガンイオンの発色により、鮭の切り身のようなオレンジ色〜ベージュ色をしている。アルカリ閃長岩ペグマタイト中に針状〜レンガ状〜刃状結晶をなして産し、まれに繊維状のものもある。方ソーダ石捕獲岩中にも出るが、この場合はたいていミリサイズにとどまる。モンサンチレーではペクトライトもごく一般的な鉱物であるが、それにしても両者が同じ仲間にはとても見えない…。

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