484.灰電気石(赤) Uvite (ブラジル産) |
Uvite 灰電気石はカルシウムとマグネシウムとを含む電気石で、リディコート電気石と同じカルシウム・トルマリン・サブグループに属する。Dana 8th
その他には、スリランカ、ウバ州の漂砂礫中に産した標本に拠って
1929年にクニッツが命名したと記されている。
が、実際はそうシンプルでもないらしく、楽しい鉱物図鑑2(草思社)には、Uvite
が新種として発表されたのは 1977年だったことが書かれている。それまで鉄電気石とみなされていた標本の数々を分析評価する試みが行われ、従来の分類におさまらない組成のものが多数存在することが分かって、このとき新たな系統種が設定された。ウヴァイトの名は、本来の意味の原産地ではないが、ウヴァ産の標本の分析値が典型的だったので代表に選ばれたのだろうと。
Dana 8th と併せて折衷的に推測すると、1929年にすでにその名前がある種の鉄電気石に対して提示されていたのかもしれない。よく分からないが、すでに存在する標本が新種だったと確認されたときは、最初に記録された時点に遡って、発見年が採用されるのかもしれない。??
灰電気石の色調は鉄電気石に似た黒いものから、褐色、渋茶色、緑色、ワイン色などさまざまである。普通は蛍光しないが、微量の鉄分を含むものに黄色く短波蛍光する例がある。別の文献には、ケニアやタンザニアに産する含クロム種が黄色蛍光を示すとある。苦土電気石と連続固溶体を作る。2色性が強い。
本鉱の特徴かどうか確かでないが、市場に出ている結晶標本は柱面がないか短く、端面がよく発達していることが多いように思う。ミャンマー産の緑色のものにはバラの花か鉄の華(アイアン・ローズ)様に結晶が集合したものがあって、他のトルマリンにみない傾向だと思う(私が知らないだけということも大いにありうるが)。
分析報告によると、相当量のフッ素を含んだ標本があるとのことで、その方向になにかさらに新種となるべき種が潜んでいるかもしれない(ほとんどの報告は灰電気石がフッ素を含有することについて言及していないが、リディコート電気石、リチア電気石、バーガー電気石等にはその傾向がある)。
以上、私にはどうも判然としないトルマリンである。