485.バーガー電気石 Fluor-buergerite (メキシコ産) |
Buergerite
は希産種のトルマリンで、和名はバーガー電気石、ビュールゲライト、ベルゲ石などと呼ばれている。鉄電気石とよく似た組成の鉄トルマリンだが、鉄電気石中の鉄イオンが+2価であるに対して、+3価として働く。増えた正電荷は、通常水酸基(−1価)が4ケあるところ、代わりに3ケの酸素基(−2価)と1ケのフッ素基(−1価)が入ることでつりあいが取れている。フッ素が入るのは、酸素基によって歪んだ構造形を支えるためだそうで、自然界の精妙な均衡と柔軟な対応に舌を巻く。
もちろんトルマリンとしての結晶構造や物性は保たれている。
発見されたときには特殊な鉄電気石と考えられたそうだが、本鉱を他の電気石(例えば苦土電気石や褐色のリディコート電気石)と肉眼的に区別するのは難しいだろう。
ただ苦土電気石は通例、変成岩に伴い、本鉱は特殊な貫入火成岩体に伴うといった産状の違いを勘案することは出来る。
(補記) トルマリン・グループの系統整理に伴って、Buergerite から Fluor-buergerite に改名された(2011年)。