488.青軟玉 Vonsen Blue Jade (USA産) |
中国の古玉に青白玉というのは、私たちが思う青色ではなく、淡緑がかった軟玉のことである。真に淡青色の玉もないわけではないが、そう沢山あるものでもない(先にひま話に書いた出光美術館の蔵品は淡い水色だったが⇒青磁と玉器の色)。
しかし、アメリカ、カリフォルニア州には青い軟玉がある。それもどうやら沢山。
フォンセン・ブルー・ジェード。
カリフォルニアにその人ありと音に聞こえたロック・ハンター、フォンセン氏が、1949年にサンフランシスコ北方のペタルマ付近の農場で発見したものだという。ただ農場主が頻繁な立入りを快しとしなかったので、採掘はほとんど行われずにきた。10年ほど前、息子の代になってようやく規制が緩み、アンダース・カールソンという人が手掘りで石を集めて市場に供給するようになった。
フォンセン・ブルー・ジェードの色は淡青色〜青灰色。繊維質の組織が見えるものは、磨くと猫目石効果を示すこともある。いかにもカリフォルニア産らしく、ときに葡萄状の外観を呈する。上質のものはコマドリの卵に似た淡い青色で(ということはトルコ石の色に似ている?)、鋼のような雰囲気があると評されている。
上の標本はわりと質のいい原石。通常の(宝石質の)軟玉とはちょっと違って、外観はまるで粘土が固まったような感じで脆そうに見える(多分、滑石である)。透明感はほとんどない。破面を見る限り内部は緻密で硬い。磨くと上述の出光所蔵の玉器に近い雰囲気になるかもしれない。青が爽やかなので、あるいは汝窯青磁の味わいといえるか?
下のタンブルはラピダリーに一般的に用いられているもので、青が暗い。比較的安価に出回っているのは、あまり需要がないせいかもしれない。