534.燐灰石 Apatite-(CaF) (ロシア産)

 

 

Apatite with Calcite 燐灰石 アパタイト

アパタイト(青)と方解石(オレンジ) -ウクライナ、ウラル産

アパタイト 燐灰石 Apatite-(CaF)

フッ素燐灰石 −ロシア、シベリア、バイカル湖西方、スルジャンカ川産
via J. Cilen (1916-1997) コレクション #10474

 

燐灰石はカルシウムの燐酸塩鉱物であるが、同時に含まれるフッ素、塩素、水酸イオンの3成分の多寡によって3つの種に分けられる。なかで自然界にもっとも普通に見られるのがフッ素燐灰石 Apatite-(CaF)で、標本ラベルに単に燐灰石と記載されている場合はたいていフッ素燐灰石だと思ってあやまたない。もっとも肉眼的に3種を区別することは難しいので、一般人には誤認に気づくチャンスもない。
生物の歯や骨は水酸イオンが優った水酸燐灰石で出来ている。化石に本鉱が伴うような場合は、だから多分、上の判断はちぃと怪しくなる。
またメキシコに燐灰石の仮晶を持ったトルコ石の標本が出ている(No.624)。トルコ石は銅とアルミの水酸燐酸塩であるから、もしフッ素燐灰石を交代したものだとするなら、同様に水酸燐灰石が交代する作用もあってよさそうに思うのだが、どうだろう?

ここに載せた標本はいずれもロシア産のフッ素燐灰石。標本リストには「緑色の」と形容されていたが、僕にはどちらも青〜水色系の色に見える。実は最近、プロのカメラマンと一緒に仕事をする機会があったのだが、彼の色表現と僕が感じた色との間にしばしば大きな差があることに気がついた。それで、このところ自分の色感覚を非常に怪しむ気持ちが起こっている。上の標本ってやっぱり「緑」ですか?

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