564.グラウコセリ石 Glaucocerinite (ギリシャ産) |
ラウリオンは古代地中海世界において鉛と銀の重要な供給源であった。また鉛アイソトープを使った青銅器遺物の分析によると、青銅器時代屈指の銅産地でもあったと推測されている。ラウリオンの主な銅鉱は塊状の藍銅鉱と孔雀石だった。
19世紀の終わり(1887-1889)、ラウリオンの鉱山活動で残されたスラグから、ラウリオン石、パララウリオン石、ペンフィールド石などの鉛の酸化−塩化二次鉱物が発見され、以来、数多くの新鉱物が報告されている。(ラウリオンに産する鉱物は初生・二次鉱物含め265種に上ると記されている-1994年
MR誌)
スラグに残る比較的高濃度の鉛、銅、銀と、エーゲ海の海水による酸化促進効果とによって、二次鉱物の生成が進んだ。これらは従って地質学的なスケールの時間を経て出来たのでなく、人間の活動スケールで計られるごく短い時間のうちに生じたものである。
グローコセリ石は亜鉛と銅とアルミの水酸硫酸9水和塩である。1932年にラウリオンで発見され、その青い色と蝋脂状の外観とによって名づけられた。