603.石膏(砂時計タイプ) Gypsum (USA産ほか)

 

 

Gypsum 石膏

ジプサム -USA、オクラホマ州グレート・ソルト・プレーン産

Gypsum 石膏

石膏 −カナダ、アルバータ州ハイネス・クリーク産

Gypsum 石膏

同上 短波紫外線による蛍光

 

鉱物の結晶が持つ異方性はしばしば結晶構造の中に面白い性質、副成分やインクルージョンの異方的な吸着性を示す。上の画像、成長中に粘土質の砂が選択的に取り込まれた例。2−3番目の画像、蛍光の原因は不明だが、おそらく要因となる元素が選択的に吸着された例(※類似のものが世界各地に産するが、この産地の標本は肉眼で見えないほどの微小な有機物が含まれているためとの報告がある-スペクトル分析による)

石膏はこのようにしばしば砂時計の模様を見せる。
鉱物は時を止める。

補記:オクラホマ州アルファルファ郡のソルト・プレーンは 1930年に開設された国立自然保護区で、観光名所の一つである。さまざまな鳥類を観察することが出来、塩原から有り余るほどの石膏の結晶が採れて土産に持ち帰られてきた。かつては塩湖だった地面を少し掘ると、湿り気を帯びた水平な砂層や粘土層にあたり、10cm程度の結晶集合体がテもなく手に入る。18cm長の大きな結晶が出たことがある。石膏はたいてい茶色い砂を含んでいるが、砂を含んだ部分と含まない透明な部分とが分画的に生じたものがあり、その様子が砂時計に喩えられてきた。わりと容易に(かつ安価に)手に入る標本。

カナダ、アルバータ州のハイネス・クリークもまた石膏の有名産地の一つで、90年代に大量の標本が採集された。平行連晶形のものやフィッシュ・テイル形のものがある。微小な粘土粒(有機物ともいう)を含むことが多く、分画的に吸着されると紫外線で砂時計模様の蛍光を示すと考えられる。

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