622.自然銅2 Copper  (USA産)

 

 

Native Copper 自然銅

緑色斑岩中の自然銅 -USA、AZ、レイ鉱山産

Native Copper 自然銅

Native Copper 自然銅

同じくレイ鉱山産の自然銅の結晶

 

アメリカ南西部のアリゾナ州は豊かな銅産で知られ、銅鉱業は19世紀後半以来、つまりアメリカ領となった歴史の早い段階から州の重要な基幹産業となっている。初期のスペイン入植者の時代に銅の存在が知られていなかったわけではないが、当時はなにしろ僻遠の地であったから、苦労して採掘して出荷しても採算が見込めなかった。金や銀を求めて荒野に入ったスペイン人やメキシコ人、また最初期のアメリカ人探鉱者は、銅に関しては見つけても手を拱いているほかなかったのだ。しかし1876年にサザン・パシフィック鉄道が全線開通したことで状況は一転し、南西部は銅の時代を迎えた。

当初、銅鉱山はどこでも坑道採掘(地下採掘)で行われていたが、この方法は比較的品位の高い鉱石があって成り立つものである。やがて20世紀に入ると、ユタ州のビンガム・キャニオンで大規模露天掘り採掘が試行された。これは従来見過ごすほかなかった低品位鉱石の利用をも促す大技で、その成功によって開発可能な鉱床の範囲はぐんと広がった。アリゾナの斑岩銅鉱床にもこの手法が適用されることになり、1917年アホーに初の露天掘り鉱山が開かれた。あ、ほー。
通常ひとつの鉱山は数十年保てばいい方で、鉱山とそれに伴う鉱山町は比較的短期間のうちに隆盛を迎え衰えていくのが慣いである。どこかにまた別の鉱脈が発見されるとその場所を中心に再び人が集まって新しい町が栄える。
そんな繰り返しで数多くの鉱山が開発されたアリゾナ州は、今日なお米国の銅生産量の6割を支えている。一方、かつて銅や金が採れた土地は整地され、高級住宅や別荘が立ち並ぶ居住区画に変貌していたりする。 

No.623に続く)

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