119.アホー石  Ajoite  (USA産)

 

 

昔、このあたりは、露天掘りで銅を掘ってたんですよ。

アホー石 −USA,アホー、ニュー・コーネリア鉱山産

 

この鉱物の名前におかしみを感じるのは、おそらく、日本人くらいだろうが、アホーというのは、原産地付近に住んでいたインディアンの言葉が語源だそうだ。きっと、「あほ あほ あほ あほ〜」と遠吠えをあげながら、焚き火の周りをぐるぐる廻っていたのであろう。

アリゾナ州の南東側には至るところに銅鉱山がある(あった)。原産地のニュー・コーネリア鉱山はツーソンの西150キロほどの日帰り地点にあり、今は閉山して立ち入り禁止になっているが、以前はミネラルショーの合間に視察ツアーなんかもあったらしい。

アホー石は、1958年に命名された比較的珍しい鉱物だ。銅の珪酸塩鉱物の一種とされているが、分類未整理扱いになっているようで、なんだか不思議なシロモノである。原産地以外では、南アフリカのメッシナで、水晶中に閉じ込められたものが見つかっている。アホー石入り水晶といって、今ではこちらの方が有名かもしれない。(2001.)

 

追記:ニューコーネリア鉱山は1750年頃に発見されたと言われるが、開発されたのは1916-17年頃から。1931年に(低品位)斑岩銅鉱床の大規模露天掘りを始めた。この種の採掘法を採用した銅山としてもっとも古いものである(cf. No.622)。1983年にいったん採掘を終えた。その後も鉱山資本の管理下にあって副産物の販売などを続けていたが、現在はそれも休止中の様子(立入不可)。

アホー石の組成は (K,Na)Cu7AlSi9O24(OH)6・3H2O とDana 8th(1997) 等にあるが、直近のIMAリストを参照すると K3Cu2+20Al3Si29O76(OH)16・8H2O とされている。あまり安定性(均質性)のよくない種ではないかと思われる。塩酸や硝酸などの酸で容易に分解されて、白い珪酸ゲルを残す。シャタック石(シャッツク石)Cu5(SiO3)4(OH)2 を伴うことが多く、シャタック石から変化してアホー石になったものと、その逆置換のケースの両方があるとみられる。ということは中間的な成分のものもある、ということだ。
この産地のアホー石標本は「絶産」と言われて久しく、市場にはちらほらと見る感じ。パパゴ石もここが原産地。(2019.6.29)

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