638.アンドール鉱 Andorite (ボリビア産)

 

 

Andorite アンドール鉱

アンドール鉱 -ボリビア、オルロ、サン・ホセ鉱山産

 

Dana 8thによると、アンドール鉱(アンドル鉱)は、Amn6 (またはその整数倍)の基本構造を持つリリアン鉱グループの鉱物である。Aサイトには鉛、銀、マンガンが入り、Bサイトにはアンチモン、ビスマスが入る。
1894年にアンドール・フォン・セムセイ卿に因んで記載され、グループ8種の鉱物の中で、リリアン鉱(1889年記載)についで古い。PbAgSb3S6の組成を持ち、銀を含むところがアリガタイのであるが、このグループはフィゼリ鉱、ウチュチャクア鉱、グスタフ鉱など6種までが銀を含む。
板状または柱状の結晶をなし、長さ3センチに及ぶことがある。暗灰色、金属光沢、条痕は黒、へき開を示さず断口は貝殻状、硬度3〜3.5、もろい。しばしば結晶面に条線が発達する。

原産地はルーマニアのバイア・スプリエ、良標本を出す代表的な鉱山にフランスのレ・ファージュ、ボリビアのイトスやサン・ホセがある。
画像の標本はサン・ホセ産で、随分前に入手したもの。この鉱山からは数年前に美晶標本が市場に出たが、2ケ目を持つかどうか迷っているうちに機会を逃した。
サン・ホセはスペイン植民地時代に開発された銀山で、最近まで掘られていたが現在は休山しているという。大量のズリが残っていて、さまざまな硫塩鉱物が採集できるらしい。

金属鉱物の例によって若干組成に変動のある個体が確認されており、かの中瀬鉱は兵庫県の中瀬鉱山に産した銅を含む類似鉱物が1960年に報告されたものだが、種としては認められていない。「日本の新鉱物」(フォッサマグナ)によると、日本では新鉱物として扱われているが、国際的な認定機関であるIMAには申請されていないという。またクアトル・アンドーライト (Quatrandorite /四重アンドール鉱)とセン・アンドーライト(Senandorite/ 六重アンドール鉱)はアンドール鉱の顕微鏡的な相互析晶(intergrowths)を含む鉱物だが、これも研究途上であるらしい。(加藤昭博士の解説によると、前者は単斜晶系の相を示すものであり、後者は斜方晶系の対称を与える組成の鉱物であると)

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