645.スター水晶 Star Quartz (チェコ産) |
「スター・クオーツ」と呼ばれる白濁した水晶(ミルキー・クオーツ)で、結晶が放射状、星状に広がって集合するのが特徴である。
この類の標本はチェコのストラズニク丘陵の、暗黒色玄武岩質の地質に貫入した石英脈中に産するもので、1850年代に当時地元に住んでいたエミル・ポース博士(ウィーン地質研究所)によって発見された。
産状は低温環境で水晶が生じたことを示しており、1857年のA.E.リュースとE.フォゼフニイの報告によって一躍有名となった。最大10cmの放射状の集合が見つかったといい、多くの博物館に「スター・クオーツ」の標本が収められた。今日、産地は埋め戻されて、採集が適わない状況になっているそうだ(1963年に自然保護地域に指定されたため)。
直近のギャラリー2,3項で放射状の結晶集合体を「星状」と描写しているが、それはなにも私の勝手な見立てでなく、この標本のような放射状の模様をヨーロッパ圏では実際に「星」と呼んでいたのであるよ。
放射状に結晶が広がって産することから命名された
Astrophyllite 星葉石また然り。
cf.イギリス自然史博物館の標本(コーンワル産)