675.セーレンセン石 Sorensenite (グリーンランド産) |
セーレンセン石は単斜晶系で、方沸石に富んだ岩体に産して細長い板状に結晶する。集塊をなすのが普通だが、方沸石と混じって成長したものはときに巨大なサイズになる。まれに複雑な3連双晶をなす。へき開は2方向に発達する。
No.674で紹介した業者さんによると、セーレンセン石を多産するエリアには家ほどもある大きさの転石が散らばっていて、その表面に塊状のセーレンセン石が成長している。転石は固く、タガネを打ち込む隙もないほど緻密であるから、大きな標本を無傷で取り出すことは至難の業である。そのため一般にサムネイルサイズの標本ばかりが出回っているのだが、といいつつ、彼ら自身はある年、ドリルや破砕機(その前にはガス式のノコ)を持ち込んで採集を試み、いくつかの比較的大きな良標本の採集に成功したんだそうな。
紫外線(SW)で美しいタマゴ色〜白色に蛍光し、LWでは黄色みが増す。
余談だが Princeton field guide の鉱物図鑑 Minerals of the world (Ole Johnsen著 2002)に掲載されている標本の大半は(5点の私蔵品を除き)コペンハーゲン大地質博物館のコレクションである。セーレンセン石はじめ、グリーンランド産鉱物の充実ぶりにはひたすら脱帽するばかり。