41.虹の石(仮称)  Limonite/Goethite   (スペイン産)

 

 

昔から、虹の橋の根元には、私が埋もれてるって、言いますよね?

鱗鉄鉱 −スペイン、アンダルシア、ウェルバ、リオチント鉄山産

 

金属鉱物の多くは、表面に酸化皮膜を生じるために、次第に表面が曇ってくる。入手したときにピカピカだった結晶面(や破面)がいつしかうす汚れてくるのは実に悲しいものだ。ところが一方で、酸化皮膜のために却って美しくなる鉱物もある。
この標本は、鱗鉄鉱または褐鉄鉱の表面が、酸化皮膜に覆われたために、光の回折・干渉作用によって、虹色を帯びたものだ。左上部分の色を識別してゆくと、赤紫、紅赤、黄、黄緑、翠、青竹、青、藍、紫が認められる。右下部分では、金、鉛青、真鍮、赤銅などの色が出ている。たった数センチの標本にこれだけ沢山の色が現れるなんて、実に不思議だ。
どうしてこんなことが出来たのか、多分神様にだってわからないだろう。
だからこそ私たちは、鉱物に感動を覚える。それは、私たちの中にある神様が、思いがけない美を発見して大喜びすることなのだ。(1999.3)


追記:スペイン南西地方のリオ・チントには堆積性の巨大な塊状硫化鉄鉱鉱床があり、これを掘る一群の鉱山が古代(BC10世紀といわれる)から現代まで続いている。上の標本はその一つ、セロ・コロラドの露天掘り鉱山に産したものと思しい。ここではイリデッセンスを示す鍾乳状ないし葡萄状の針鉄鉱(Goethite)が折々掘り出されてきた。また同じウェルバのラ・ラピーリャ鉱山やタルシス鉱山と標識された標本も有名。今年は当たり年だったのか国内のショーでタルシス産(の特徴を持った標本)を多数見かけた。ちなみにこれだけ鮮やかな標本はそんなに見つかるものではありませぬ。 (2016.12)

cf. No.283 補記2    ヘオミネロ博物館3

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