683.ブリト石 Britholite-(Ce) (カナダ産) |
ブリトライト-(Ce)(セリウム・ブリソ石)はグスターブ・フリンクが1897年にイリマウサークで採集した標本群から発見された鉱物で、当初は暫定的に「カプラン石類似鉱物」(cappelenite:
1885 by broegger)と叙述され、1901年にウィンザーが
Britholite とした。
その比重の大きさからギリシャ語の brithos
(重い、重み)に因んだのだが、同様の経緯で命名された鉱物に古く重晶石
(barite: barys
に因む)があるため、二番煎じというか、異曲同鉱(工)な感じがする。
組成式 (Ce, REE,Ca,Na)5[(Si,P)O4]3(OH,F)
。燐灰石(Ca5(PO4)3Fなど)グループに分類され、ブリトライト・サブグループを構成する一つ。セリウムその他のレアアース元素を含む珪酸/燐酸塩である。
標本はカナダ、ケベック州オウカの炭酸塩複合岩体に産するもの。この産地のブリソ石は、燐灰石とブリソ石との中間的な性質(成分)を持つという。また放射性元素トリウムを含み、その鉱石は説明的に「トリウムを帯びるセリウム珪酸性燐灰石」といった呼び方をされている。
下の画像は短波紫外線を照てた様子で、暗い赤色はかすみ石閃石や長石類にしばしば見られる蛍光色。紫色(ラベンダー)色の部分は、昼光下では白色に近い鉱物であり、確かではないが私は燐灰石だろうと思っている。黄褐色粒状のブリト石部分(またはその性質の強い部分)は蛍光性を持たないようだ。