720.キュプロスティバイト Cuprostibite (グリーンランド産)

 

 

キュプロスティバイト(左端中央あたりのあずき色の部分) 
-グリーンランド、ナルサク、イリマウサアク産

 

組成式 Cu2(Sb,Tl)。タリウムを含む銅(キュプロ)のアンチモン(スティビウム)化物で、そのままキュプロスティバイトと命名された。1969年記載。同工の名前の鉱物に Chalco(銅)Stibite(アンチモン鉱)、すなわち輝安銅鉱 (CuSbS2)があるが、こちらは銅とアンチモンの硫化物である。分類上(Dana 式)は両者とも硫化物になるが、前者は実際にはアンチモン化物と考えられ、両性元素アンチモンの挙動に大きな違いがある。私の考えでは輝安銅鉱もたいがい希産種だが、キュプロスティバイトはもっと希産種であると思う。
イリマウサアクのほか、ニュージャージーのフランクリン、スウェーデンのロングバン、ウラルのズオロタヤ・ゴラで産出が報告されている。画像は原産地の標本。あずき色の粒状〜塊状で産し、その色合いは紅安鉱に似ている。新鮮な破面は濃い菫赤色、とモノの本にある。

 

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