737.オーリキュプライド Auricupride (ロシア産) |
画像は原産地の標本。ウラル山脈南部のこの一帯は18世紀前半にデミドフ家が鉱山開発を行った地域で、1822年にサク・エルガ川に砂金の大きな(漂砂)鉱床が見つかって金洗いの人々が集まったのが、カラバッシュの町(チェリャビンスクの北西約90キロ)の始まりだった。ほどなく近くのソイマノフスキーで銅が掘り出され、
1837年には銅精錬施設がおかれた。しかしカラバッシュは長い間、むしろ産金地として知られた。20世紀前半(1902-1946)にはゾロタヤ(金)・ガラ(山)と呼ばれた蛇紋岩の山で初生鉱床型の金が採掘されたが、これは多量の銅を含んだ特異な山金だった。そんな金を調べた結果、1950年に記載されたのが本鉱である。
銅と金の比率はさまざまなものがあり、より金分の高い
Cuproauride と呼ばれるもの(CuAu - CuAu3)
も定義されているが、鉱物種としては承認されていない。組成式
CuAu の Tetraauricupride は新疆ウイグルを原産地として 1982年に記載された類縁鉱物で、その後ゾロタヤ・ガラでも報告されている。