1050.水晶(発散形の連晶2) Quartz, divergent growth  (中国産)

 

 

 

水晶 (発散形の連晶) −中国、内モンゴル自治区産

上の画像、中央上部の集合形。
発散型の小晶が樹枝状に群れる(亜平行連晶)。
小晶の錐面は松茸形の冠を帯びる。

一番上の画像、右側の単晶形の根元。
小晶に雪帽子。

主晶形の一つ。中央で裂けた、山脈の尾根に似た
錐面成長の様子が見られる。
この形はつぼみ形(アーティチョーク)の水晶に
しばしば現れる。 cf. No.338

一番上の画像、中央に横たわった主晶形の拡大画像。
小晶群は比較的に錐面のみ(雪かむり、松茸形)が
発達している。柱面から突き出した角度で付着した
小晶もみられる(発散形というより、分枝形/バークナル)。

 

No.1049と同じ産地の水晶標本で、主晶に付着した発散型の小晶が比較的よく発達したもの。小晶の錐面にはさらに別の(世代の)付着が起こっているらしく、雪帽子を冠った形となっている。この形が発達すると、いわゆる松茸形・王笏形の水晶になると思われる。
松茸形が生じる要因(のひとつ)として、柱面の下部が何らかの別種鉱物で被覆されて成長を停止し、被覆されていない先端部でだけ成長が継続する現象が(別の産地で)指摘されているが、この標本の場合は、異なる高さレベルにある多数の発散型小晶で等しく冠の付着が見られるため、単純な被覆/埋没による阻害説を適用することは妥当でない。むしろ成長晩期において、柱面の成長より錐面の成長が著しく素早く進行する環境条件が発生していた、と考えるのがよいと思われる。

総体としては発散型の亜平行連晶形なので、いわゆるバークナル(フジツボ)でなく、アーティチョーク、あるいはパイナップルと呼ばれるタイプに分類できよう。しかし局所を見ると、主晶の柱軸に立つように分枝した小晶も共存しており(一番下の画像例)、No.1047以降の標本と並べてみてゆくと、どうやら水晶の成長には平行連晶的に進行する標準モードの他に、(中断や環境変化を経た)亜平行連晶のモード、さらには平行形から大きく外れた二次(二世代)モードの成長や松茸(セプター)形の成長等があり、モードの遷移はこの順で行われ、時には並行的に進む場合もあると考えられる。

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