129.金紅石 Rutile   (チリ産)

 

 

ラテン語のルチラス−金紅−が名前の由来です。

ルチル−チリ、アタカマ、アグア・カルガダ産

 

金紅石(ルチル)はチタンの酸化物だ。主要な用途はアーク溶接棒のフラックス原料だとモノの本にある。その他には、リップスティック、アイ・シャドーといった化粧品、コンデンサー、人絹のつや消し、ホーロー釉薬の白色剤などに用いられている。屈折率がきわめて高いために微粉末は不透明度の高い眩しい白色を呈するので、地肌をよく隠す高級顔料になるのだという。大粒で良質のものは美しい宝石になり、無色透明の合成品はダイヤモンドより明るく輝く。

この石はチタンの鉱石としても重要だ。チタンは、鉄に比べて軽く、アルミニウムよりはるかに強い(アルミの1.5倍の重さで、強度は6倍)。しかも耐熱性かつ表面に不動態を作り耐腐食性も良好なので、航空機や宇宙ロケットの構造材として、かなり以前から注目されている。ただ、高価な上に二次加工(切削・溶接)が難しいため、今のところは、部分的に採用されている程度だ。F15戦闘機のエンジンフレームは、俗に6アルミ4バナと称する合金を削り出したもので、これだけで家が一軒買える。(戦闘機まるごとなら、村がひとつ買える。)

石津嵐著「宇宙戦艦ヤマト」によると、ヤマトの装甲外板はチタン材である。TVでは、戦闘で破損した外板を溶接で補修していたが、実は地上ではチタンの溶接は難しく、過剰シールドガス中か、真空中で処理しなければならない。しかし酸素のない宇宙空間でなら、そんな気遣いは無用だ。これまた宇宙向きの金属といえようか。

写真の標本は、不毛の地アタカマ砂漠にそびえる奇怪な姿の高山から採集されたものという。ルチルの特徴である60度交差の双晶がよく発達し、名前の由来となった金紅色も分かりやすい(ルチルの語はラテン語のルチルスが語源で赤色の意)。このあたりは流れ込む川はあっても、流れ出す川のない盆地。極度に乾燥しているため、湿地帯は濃縮された塩水に満ち、塩や石膏の結晶があちこちに見られる。風に舞う土埃が塩と石膏で糊付けされ、ガミラス基地のような岩山を形づくっている。太古に堆積した硫黄が風景を黄色く染めている。

 

cf. No.316、 No.811 (ルチル/チタンの発見)

鉱物たちの庭 ホームへ