149.自然蒼鉛 Bismuth (ボリビア産) |
ビスマスは、15世紀のザクセン地方で新種の金属として採掘されたのが始まりで、その名はドイツ語の
Weisse masse 白い塊、に因むという。
「この鉱物が純粋な形で発見されることはわりに珍しいが、もし見つかったなら、その下部には銀の鉱脈があると期待してよい」と
16世紀の鉱物書「デ・レ・メタリカ」は伝える。鉱山師たちは、ビスマスを「銀の帽子」または「銀の屋根」と呼んでいた。cf.
No.896 自然蒼鉛
ただ、当時ビスマスとアンチモン、鉛、スズはしばしば混同されていた。パラケルススは「哲学者の天国」(16世紀)の中で、「二種類のアンチモンが存在し、黒色のものは金の精製に使われ鉛に似ており、白色のものはビスマスとかマグネシアと呼ばれてスズと似た性質を持つ」と書いている。独立種の金属としてビスマスの化学的性質が明らかにされたのは18世紀になってからだ。
ちなみに輝安鉱(アンチモンの硫化鉱)もまた、銀に有望な兆候とされている。
備考:ビスマス(Wissmuth・Wismut)の語源は、アラビア語の wissmaja(安息香のように容易に溶ける金属)に由来するとの説もある。
また、ドイツ、ハルシュタット文化(紀元前数世紀)の遺跡から、銅とビスマスを使った金属器が見つかっているという。先住民は古くからビスマスに気がついており、ゲルマン民族は、はるか後になってこれを再発見しただけかもしれない。