382.方解石 Thunder egg calcite (モロッコ産) |
流紋岩のような珪酸分に富んだ岩の内懐に、めのうやオパールが抱かれるのは自然の成り行きだとしても、環境が異なれば、ほかの鉱物が鋳型となる空隙を埋めて−あるいはその内周に着床して−、ちっともおかしくないだろう。
実際、No.264(菊花石)は、石灰分に富んだ環境で咲いた大理石の花だった。
上の標本もまた、堆積性の粘土質母岩に生じた割れ目に、方解石が詰まったもの。スライスした断面がサンダーエッグに似た見事な放射模様を見せている。
模様の中心にある黒い目玉はおそらく母岩の一部なのだろうが、どういう加減か割れ目の只中に居座って、黒い太陽から吐き出される白いコロナとプロミネンスを演出している。2つ並んだ暗黒太陽は禍々しくも不気味な印象を与える。
鉱物ショーでこの石を見つけたとき、ちょっと出来すぎだと思って訊いた。
" Is this a kind of artificial stone ? "
(これって人造の石じゃないの?)
外人の鉱物商さん、答えて曰く、
"Non, It is natural. " (それはねいちゅあ〜)