391.球状雲母 Ball-peen Mica (USA産)

 

 

Ball-peen Mica

球状に集積した白雲母(ボールピーンマイカ)
−USA、CT、ジョージタウン付近ブランチビル採石場

 

雲母は平面的な結晶構造を持っているから(⇒No.285参)、平たい板状になって産することが多いが、構造に緩いところがあるせいか、3次元曲面(要するに球状)をもった結晶も知られている。
上の標本はコネチカット州特産のボールピーン・マイカと呼ばれる白雲母で、クリーブランド石(曹長石の一種)の球状塊のカーブをなぞるように成長したものだという。
ちょうど丸頭(ボールピーン)ハンマーの雰囲気があるので、そう愛称されているが、これでカタいものを叩いたら、もちろん雲母の方が剥がれてしまう。
ブラジル産のリチア雲母にも似た産状を示す標本があり、雲母としては結晶構造の長距離秩序がぶれることに、なんの苦もないようにみえる。多分、すぐ下層の分子数よりちょっとだけ多い分子を上の平面層に配置すれば、層間で歪みを吸収して、きれいな球面が形成されるのだろう。電荷の補償はエボンの賜物で、テキトーに副次成分が入ったり抜けたりして?
余談だが、白雲母のへき開片を尖った針でたたくと打像が出るという。

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