493.藍閃石 Glaucophane (イタリア産)

 

 

Glaucophane グローコフェン 藍閃石

グローコフェン -イタリア、アオスタ渓谷、キンチネット産

 

藍閃石は、その名も「青みを帯びた」を意味するギリシャ語により、この鉱物に特徴的な暗い藍色をしている。薄片を偏光顕微鏡で観察すると、それは美しい青を示すらしい。
組成式は Na2(Mg3Al2)Si8O22(OH)2 で、マグネシウムが2価の鉄に置換されたものが鉄藍閃石、アルミニウムが3価の鉄に置換されたものが苦土リーベック閃石、共に置換されたものがリーベック閃石である(クロス閃石はこれらの中間的なもの)。この中で普通に見られるのはリーベック閃石でやはり暗い青〜灰青色をしている。
水晶を青く染めるリーベック閃石は愛好家の間でわりとよく知られている。
鉄藍閃石の色は藍閃石よりやや暗い場合が多く、光沢に乏しい。

比較的低温かつ高圧の環境で生じる変成鉱物で、ブルー・シスト(青色片岩)の主要構成鉱物として産することが多い。生成条件がひすい輝石と似ていて、プレートの沈み込み領域などに両者が共存する例が知られている。海洋底地殻を形成する玄武岩が変成作用によって蛇紋岩に変わるとき(変わったあと)、ある条件を満たす環境で藍閃石が生じると考えられる。青色片岩はひすい輝石のほかにローソン石を伴うこともある。
エクロジャイト岩体にも見出されることがある。組成上は曹長石と蛇紋石が2:1の比で合わさったものにほぼ相当。

補記:ギリシャ語の glaukos (青みがかった緑)+ phanes (輝く、〜にみえる)に因む名。

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