214.エクロジャイト Eclogite (スイス産) |
エクロジャイト(榴輝岩)は、海洋底地殻を構成する玄武岩やハンレイ岩などが、地殻の変動によって地底深く沈み込み、高圧下で変成を受けて生じたものと考えられている。
変成によって緑色の輝石と赤色のざくろ石に分化しており、輝石部分は透輝石〜ひすい輝石系(オンファス輝石)の組成を持ち、ざくろ石部分は、パイロープ〜アルマンディン系の組成を持つ。
いったん上部マントル〜地殻深部に沈んだ岩石が、再び地表に現れ、その時には美しい宝石に変わっているのだから面白い。変哲もない石が、地底の「炉」に投じられ、より「高められた」鉱物として再生する壮大な過程を、錬金術の秘儀になぞらえてみたい。
エクロジャイトは、ときに捕獲岩としてダイヤモンドを伴うことがある。海底の玄武岩や堆積岩に伴って生物起源の炭素が地底にもたらされ、変成を受けてダイヤモンドとなり、エクロジャイト(やキンバーライト)に包まれて再び地上に帰ってくるのである。これまた、地球規模の錬金術といってよかろう。