567.コンネル石 Connellite (アイルランド産) |
コンネル石は銅の塩化・硫酸・水酸・3水和塩である。アタマカ石やボタラック石と同様に塩素を含む二次鉱物で、銅鉱石と海水(または塩水)とが反応して生じることが多い。
原産地はイギリスのコーンワルで、最初に発見されたのは1790年代だったそうだが、当時は銅の砒酸塩だと考えられていた。硫酸塩であることが分かったのは1850年代で、スコットランドの化学者アーサー・コンネルに因んで、コンネル石と名づけられた。(旧い和名にコーネル石)
あと20年ほど遅ければ、今頃はトーリン石と呼ばれていただろう。(No.566参照)
私の知るところでは、ラング石に似たやや明度の低い青緑色の、腐ったようなガサガサの皮膜状で生じることが多いが、ときに斜開銅鉱や藍銅鉱のような暗い紺色の針状結晶集合を作り、それはもう痺れるほどに美しい。今までに見た最良の標本はハーバードのコレクション中のもので、いつかこんなのが欲しいと憧れを燃やしている。
Ceruleofibrite
の名で呼ばれたものがあるそうで、おそらく空色繊維状の石だったと思われる。
画像の標本は柱状の結晶が明瞭に観察できる特殊なもの。私はラング石ではないかと一抹の疑念を持っているが、例によって標本商さんのラベルを採用することにする。実際、インターネットを検索すると、この産地のコンネル石はこういう形をしているようである。産地は海崖の小規模な銅鉱山だそうで、海水の影響を受けてラング石やコンネル石などを生じ、共産しているらしい。ある種の銘柄品といえようか。
中国旧訳(鉱物学名詞1934)に亜銅礬の化学訳名があるが、和名はコーネル石、コンネル石の音訳のみのようだ。