669.エジリン Aegirine (マラウィ産)

 

 

Aegirine エジリン 錐輝石

エジリン -マラウィ、ゾンバ、マローザ山産

 

マラウィはアフリカ大陸東部にある大地溝帯のほぼ南端に位置する。かつてニアサランドと呼ばれた国で、ニアサは現地のヤオ族の言葉で湖の意味。南北に走る大地の裂け目に水がたまって形成された、平均水深約292mの巨大なマラウィ湖(ニアサ湖)がその由来で、湖の西側及び南側の高原地帯にマラウィ国人が住む。東岸はモザンビーク。
地質的には花崗岩や片麻岩の基盤の上に堆積岩・火成岩が載った土地がほとんどだそうだが、南部にカーボナタイトや霞石閃長石などのアルカリ岩が露出する場所があり、我々鉱物愛好家が驚嘆の目をもって眺める希産ペグマタイト鉱物の巨晶の多くは、このあたりから採れるものらしい。とはいえ、どうも地味な色彩のものが多いので、知る人ぞ知るといった趣きがある。(cf.No.619 ジルコン
エジリン輝石(錐輝石)もそのひとつで、見事な槍形の群晶標本が市場に出回っている。
上の標本、No.668 で紹介した海王石に似た感じがあるが、柱状結晶の先端の斜めに切れたきっ先はこちらの方がいかにも鋭く、なるほど錐輝石(キリの形の輝石)と思わせる。

cf. No.185 エジリン

補記:カーボナタイトは、ふつうかすみ石やアルノー岩のような(珪酸分に乏しい環境で生成する)火成岩を伴って産し、実際生物起源でなく火成起源の炭酸塩岩である。1960年にタンザニアのオルドイニョ・レンガイ火山の噴火口からカーボナタイトの溶岩が流出するのが観察されて、その存在が認知された。
アフリカでは大地溝帯に沿って、約100ケ所以上でカーボナタイトの岩体が確認されているという。一般の生物起源の石灰岩とは酸素、炭素、ストロンチウムなどの同位体比が異なり、また希元素類(ジルコン、ニオブ、タンタルなど)やバリウム、ストロンチウム、燐などを濃集する傾向がある。

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