192.クリノクロア Clinochlore (ロシア産) |
ロシア、バイカル湖の近くで採れる斜緑泥石(クリノクロア)は、球果層状に連丘をなし、磨くと光翅を想わせる絹糸光沢を放つ。宝石名セラフィナイト(Seraphinite)は、その輝きをセラフたち(セラフィム:熾天使)の六翼にたとえたものという。しかし、セラフの語源は、「燃える、炎のような」を意味する言葉であって、この石には、ちとそぐわない。現に熾天使のエムブレムは、とぐろを巻く蛇であり、赤々と輝く紅玉なのだから。
ロシアでは孔雀石やラピスラズリ、チャロアイトなど、様々な石が研磨の対象とされ、美しい工芸品が作られてきた。クリノクロアは珍しくもない鉱物だが、彼らの優れた研磨技術によって、いまや新種の美しい貴石として羽ばたきつつある(でも、ちょい柔らかすぎ)。