307.重晶石 Baryte/Barite (USA産)

 

 

蜂蜜色のバライト −USA、コロラド州、ギルマン産

重晶石の結晶 −中国、四川省、金口河産

 

天青石が青みを帯びた石なら、重晶石は黄金色を帯びた石だ、という気がしてならない。
実際には、いろんな色の天青石があり、また重晶石があり、時には両者の区別がごく微妙な領域にまたがることもあるのは判っている。それでも独特のぎらつき感を持った黄色〜黄褐色の結晶を見ると、これはやはり重晶石だと思う。そういう存在感のある石。

cf. No.295302天青石、No.171207重晶石

補記:標本産地について。
コロラド州には重晶石産地が多数知られており、イーグル郡のギルマン地域もその一つ。かつて金鉱を産した歴史的な土地で、ことにイーグル鉱山は 1879年から1925年にかけて金山として稼働した後も、1984年まで鉛や亜鉛を掘り続け、その間に重晶石の標本をたくさん出した。美しい橙色透明〜金色のものが有名で、クラシック化している。

金口河 Jinkouhe は楽山市の南西60km にある小さな鉱山で、険しい小山の中腹に 10cmサイズの美しい水晶クラスターが出るのを採掘した。坑夫らは川床から 500m高さの採掘ポイントまで険しい道を登りつめて坑道に入ってゆく。そして採集した水晶をわら籠に詰めて背負って降りるという。 21世紀に入る頃から国際市場に見られるようになった。共産する重晶石は概ね無色透明〜半透明白色だが、時に淡青色やこのような金色のものが出た。(2021.8.12)

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