323.ビオラン Diopside var.Violan (ロシア産) |
透輝石の菫色(バイオレット)のものを、バイオレーン(ビオラン)と言い、磨いて装飾品に使われることがある。もともとイタリアに産する含マンガン亜種のことだったらしいが、現在では産地によらず青〜菫〜赤紫色の種を指している。
マンガンというと赤や緑色発色の因子となる例が多いが、これは3価のイオンとして作用するときで、2価のイオンは紫色を与えるそうだ。
上の標本はロシアのバイカル湖周辺に産するもの。標本商さんが珍しいからと薦めてくれた。着色原因不明。
「ビオランって何ですか」「さあ…分かりませんが、綺麗でしょう?」「そうですね」「よかったら、どうぞ」
という次第だが、たしかに珍しいようであまり見かけない。
♪ び〜よらんたん ビーオランたん るってめら〜 売ってねぇら〜。
追記:ヴィオラーネと標識されて市場に出回るアオスタ谷プラボールナ鉱山産の標本は、希産鉱物商グンナーの最近の分析によると、ひすい輝石であるという。橙桃色のマンガン白雲母 Alurgite、桃色針状のマグネシオ・アルベゾン閃石を伴う。cf. No.911 オンファス輝石 (2024.9.22)