No.80 ハン・ミュンデン (ドイツ)  その2

 

旧市街は小さなエリアなので、
少し歩けばすぐに一周してしまう。
中心の広場前に聖ブラシオス教会と
市庁舎とが建っている。

聖ブラシオス教会。ゴシック様式。
13C末頃から建造が始まり、16C(1584年)に塔が完成した。
18C頃まで周囲は堅牢な壁で囲まれた広い墓地だった。

ウォラギネの「黄金伝説」(38)によると、
聖ブラシオスはカッパドキアのセバステの医師で、
穏和と聖徳とにおいて偉大だったという。
セバステ市の信徒たちに選ばれ、
地区の司教を務めたが、迫害が熾烈になったため、
森の洞窟に逃れて暫く隠者の生活を送った。
地方の総督が狩猟を催した時に見つけられ、
捕えられて殉教した。AD3-4C頃のこと。
さまざまな奇蹟伝説があり、
十四救難聖人の一人として信仰を集める。
特にのどの病気や歯痛に対する保護者。
二本のロウソクをアンドレアス十字の形に
組合せてのどにあて、祈りを唱えると
のどの病気が治ると信じられ、
「ブラシオスの掩祝(えんしゅく)」と言って、
ドイツ、ボヘミア、スイスでは 2月3日の祝日に
教会でこの祝福を授ける風習がある。

人の頭に手をおいて祝福や加護を祈る行為は
掩手(えんしゅ)、按手(あんしゅ)といい、
古く旧約族長時代の風習に遡る。
創世記(48)において、ヤコブはヨセフの子ら
(のうち長子マナセと次子エフライムと)を祝福している。

職業では医者、パン職人、大工、左官、
帽子職人、ロウソク製造者、織工などの守護者。

この頃は、こういう浮き彫りの
時代がかった細工がとても気になる。

広場を囲んで立つ木骨組の建物。

狭い路地を回ってくる光の加減で
とても風情があります。

市庁舎。14Cに建造されたゴシック様式の建物。
16Cに改築されて、現存の装飾的なファサードが加えられた。

正面玄関の装飾(ファサード)。華麗。
下の緑色の扉は地下のレストランへ下る。

いろんな装飾がゴテゴテあって、楽しい。

仕掛け時計。

町に縁りの放浪医師、
アイゼンバルト(鉄ひげ)博士を材にしている。
椅子に座らされた患者の歯を抜いているらしい。

ヨハン・アンドレス・アイゼンバールトは
1663年にフィーヒタッハに生まれ、各地を転々とした後、
1727年にハン・ミュンデンで没した。
彼の家は今も残っている。
地方を巡業する芸人や道化師、楽隊と共に行動し、
華やかな音楽や歌に包まれ、
見物客が見守る中で治療を行って、
香具師よろしく自家製薬を売ったという。
眼病治療が得意だったというから
いい目薬を知ってたのだろう。
水亜鉛土の洗眼水とか?

「♪おお、私は医者よ、ビリビリビッケンブーン」
というドイツ学生歌は、1800年頃の流行歌で、
彼をからかった歌詞だそう。
「やぶ」のレッテルを貼られた。

地下のレストラン。

グーラッシュをいただく。
ハンガリーやババリア地方の料理とされるが、
今は北のハンブルクでだって食べられる。

デザートの「ビアラミス」。
ビールを使ったティラミスのようなもの。

 

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