3.緑鉛鉱  Pyromorphite   (ドイツ産)

 

 

私をいったん溶かして冷やすと、また結晶面が現れます。

緑鉛鉱 −ドイツ、ショッパウ、ハイリッヒ・ドライファルティヒカイト(聖・三位一体)鉱山産

 

ドイツでは18世紀後半から19世紀にかけて重化学工業が発達し、盛んに石炭や鉱物資源の採掘が行われた。デュッセルドルフの東、エッセン、ドルトムントといったあたりは、地元の石炭とロレーヌ地方のミネット鉱を利用した鉄鋼業が活況を呈し、現在も鉄鋼メーカーの広大な敷地と建物が周囲を圧している。

しかし、この国の製鋼、鉱業の歴史はさらにさらに古く、15世紀には、ジーゲルランド地方を発祥とする高炉製鉄が始まっていたという。ただし、燃料は木炭だった。同じ頃、東部ドイツ、エルツ山脈の周辺では、銀や銅の鉱山が次々と開発されていた。フライブルグにはその流れを汲む鉱山学校があった。19世紀、ウインクラーが新元素の抽出に成功し、ドイツ民族を記念してゲルマニウムと命名したのは、その赤いレンガ建ての実験室でのことだった。いまその部屋は鉱物標本の貯蔵室になっているという。 cf.No.518 ゲルマン鉱

そんなことを考えながらこの標本を眺める。白い母岩に黄緑色の緑鉛鉱の結晶。産地は古くからの有名な鉛鉱山である。ドイツ産というだけで、なんだか愛しい。(1999.3)

追記:欧州最古の高炉はフランドル地方に近いナミュールで1340年に、1400年にリエージュ(ロイク)に、そして1444年にジーゲンとの説もある。ベック博士はジーゲン以前の炉は、旧来の竪型鉄塊炉からの溶融鋳鉄であろうとしている。

cf. No.150No.526No.527 緑鉛鉱

鉱物たちの庭 ホームへ