4.菱マンガン鉱  Rhodochrosite  (ガボン産)

 

 

ガボンは、密林の聖者シュバイツアーが療養所を開いた土地です。

菱マンガン鉱 −ガボン、ムワンダ鉱山産

 

 

花びらのように放射状に集合した結晶が、黒いマンガン鉱石の表面に群がっている。入手した時、標本ラベルがついておらず、勝手に南アフリカ産と決めて買ったけれど、後からその業者に(イタリアまで)問い合わせたところ、ガボン産と分かった。約25年前の採集品という。分からなかったのは無理ありません、と手紙にあった。慰められた。

この石は、学名をロードクロサイトといい、ギリシャ語で「ローズ・カラー」に相当する言葉に由来する。その美しいバラ色に拠る。和名では、結晶の形(菱形になることもある)と成分に因んだ、おカタイ名前がつけられた。この違いは何だろう?
ちなみにピンク色の鉱石は桃色マンガン、「炭マン」とも呼ばれる。(1999.3)


追記:ガボンのオゴウエ高地にあるムワンダ鉱山は巨大な層状マンガン鉱床を掘るもので、1930年代に発見され、51年から操業が始まって21世紀に至る。70年代に菱マンガン鉱の美麗標本を出したことで知られる。5mm大の結晶が黒色塊状のマンガン鉱(水マンガン鉱)の間隙を覆っていた。標本の絶対数は少ないようだが、当時の貯蔵品が間をおいて市場に流れるらしく、最近では2011年のツーソンショーに良品がまとまって出た。1点、2点なら国内のショーでも折々見かける。(2016.12)

cf. No.5, No.53, No.468, No.613, No.700, No.701 菱マンガン鉱

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