784.天青石・コールマン石  Celestine & Colemanite (トルコ産)

 

 

celestine colemanite

天青石とコールマン石 −トルコ、マルマラ地方バルケスィル県、ビガディチュ鉱山

 

ホウ素資源のもっとも豊富な国といえばトルコである。埋蔵量は8.5億トンと見積もられ、確認されている量として実に世界の72%に上る。生産高も世界屈指でトルコのもっとも重要な鉱業といえ、国有企業が一手に押さえている。
主要鉱床は中西部のエスキシェヒル、キュタヒヤ、バルケスィル県に広がっており、チンカルコ石(ボラックスが脱水変質したもの)、コールマン石ウレックス石などが鉱石として採掘される。
中でもバルケスィルのビガディチュは世界最大の埋蔵量を誇り、町の周囲に多くの鉱山が展開されている。

トルコ産の鉱物標本はあまり市場に出回らないが、コールマン石や菫泥石、海泡石、紫色のひすい石英などは時折まとまって出てくることがある。ビガディチュ産としては、コールマン石などのホウ素鉱物標本が 1970年代後半頃から現れ、30cm に達する巨大結晶に繊維状のプロバート石やウレックス石が伴っていた。
画像の標本は2009年に入手したもので、淡青灰色の天青石結晶を伴うコールマン石。地元にはたくさんあるはずだが、市場ではなかなかお目にかかれない。面白いコンビネーションなのだが、脆くて崩れやすい。このテのホウ素標本の泣き所であろう。

ちなみにビガディチュの古名はギリシャ語で井戸を意味するアンキラオスに遡るという。この地域の村に湧く温泉水にはセレニウムや硫黄分が含まれる。

補記:カリフォルニアのデス・バレーでもジオードの内部にコールマン石と天青石(無色透明)が共産する産状が知られている。

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