トパーズ Stengeltopas 鉱物たちの庭
     76.ステンゲルトパーズ  Stengeltopas   (ドイツ産)

 

 

アルテンブルクの名産品です。

トパーズ(脈状) −ドイツ、ザクセン州アルテンベルク産

 

気成鉱床に生じたトパーズで、結晶面を持たず、繊維・脈状になったもの。ドイツのアルテンベルクでは石英やSiderophyllite(葉鉄鉱)と共産して、爽やかなレモン色の脈をなし、Pycnite (Pyknit) という亜種名がついている。かつて円柱黄晶の和名があった。
脈状トパーズとも呼ばれる。ドイツ語でステンゲル・トパズ(Stengeltopas)というが、ステンゲルは茎とか幹の意で、節のある植物の茎に見立てたものらしい。

写真の標本は、フライベルク鉱山学校の収蔵品だったというが、多分、その昔、鉱物好きの学生が、授業さぼってザクセンの森(エルツ山地)を逍遥中に拾ったものででもあろう。こっそりと塀を乗り越えて学校に戻ろうとしたところを生活指導教官に咎められ、夕食抜きとなった上に、トパーズは没収されてしまったのである。その後、標本室の木箱の底に無造作に仕舞いこまれたまま、数年前に時効となって、アカデミーの可処分財産に繰り込まれた。そして、オランダの鉱物商を経て、日本に渡ってきたのである。なんて数奇な運命であろうか。うううっ...。
(勝手に話を作るな!)

補記1: 1765年に設立されたフライベルク鉱山学校は初期の頃から標本販売業も手掛けて、19世紀後半には欧州最大の標本商として知られた。ザクセン地方で採集できる鉱物の標本には絶対的な強みがあり、本項のアルテンベルク産やシュネッケンシュタイン産のトパーズ標本は同校標本部の目玉商品だった cf. No.756。  フライベルク鉱山学校 TU1 - TU5
補記2: サワビーの Exotic Mineralogy (1811-) Tab.38 に Pycnite の名で紹介されている。アルテンベルク等に産するこの細長い柱状結晶の集合体について、アウイはトパーズに属するとしたが、ウェルナーはベリルに分類しており、サワビーとしてはどちらか確信が持てなかったようだ。熱すると帯電する(焦電性)、とある。
木下辞典によれば、Schlaggenwald 及び チンワルド、ボヘミヤの錫鉱山(アルテンベルクを含むエルツ山地一帯を指すと思われる-SPS)に産するトパーズが、ベリルより堅いことから、ギリシャ語のpuknos(密な)によってPycnite と呼ばれたという。

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