134.水 晶 Quartz (USA産) |
あなたの祈りを神様が叶えて下さるように
私はあなたに贈り物を手渡そう
太陽の光のように輝く
水のように透明な
この水晶を手に取りなさい
不死なる太陽から迸り出た
炎の煌めきを放つ水晶を
永遠なる神々の不滅の心は火を喜ぶ
あなたがこの石を神殿に持っていくなら
その祈りを拒むことは誰にも出来ないだろう
「リティカ」(宝石讃歌)より
No.21に書いたように、水晶は氷の結晶と信じられていた。けれども、より古い伝承では、そして世界の多くの国々では、水晶は、太陽の光を集めた「光の石」として崇拝されていた。
エリアーデが述べるに、オーストラリア原住民の呪術師のイニシエーションでは、若い志願者に「力にあふれる神聖な水」が振り掛けられる。これは「液化した水晶」であり、参入者は超自然的な存在によって殺され、ばらばらにされた後、水晶と混ぜあわされて再誕を果たしたことを象徴する。彼の体の中には今や水晶が(光が)宿り、さまざまな超常的能力を発揮することが出来ると考えられた。
呪術師の長バイアメの玉座は水晶で造られており、彼はそのかけらを地上に落とす。水晶が天空に起源するものであり、凝固した光であり、天からの降下が再現されたことを示す所作なのだ。
海ダヤク族は水晶を「光の石」と呼び、超自然的な凝固した光によって、呪術師は病人のさまよう魂を遠くから見つけ出す。またその石によって彼は天に昇ることができると信じられた。
cf. No.49 (アーカンソー産の水晶)、 No.945 (ムソー晶癖の水晶)
補記:そもそも人間の魂は光として認識されていた。死んだ人の魂が空に昇って星として光るように。
cf. ひま話 錬金術師のボローニャ石 注1(ゲーテ「ファウスト」)