166.バナジン銅鉱 Volborthite (チリ産) |
蛍光がかった黄緑色をした鉱物。No.164の赤いバナジン鉛鉱に対し、豊穣なる女神ヴァナディスのもうひとつの顔である緑色を見せている。バナジウムに起因する緑としては、エメラルドやツァボライトの発色が思い浮かぶが、本鉱も美しさでは劣らない。あるいは銅も発色に関係しているのかもしれない。青緑色のクリソコラ上に散らばった様子は、さらに魅力的だ。
学名はウラルのニジニ・タギルで最初にこの鉱物を記載したロシアの古生物学者、アレクサンドル・フォン・バルボーサ(ボルボルト)に因む。バナジン酸基[VO4]3が2個重合した形のパイロバナジン酸基[V2O7]4-を持つ。
下の標本は、バナジン銅鉱の有名産地のひとつ、モニュメント1号鉱山で採れたもの。ここでは、カルノータイト、チューヤムナイトなどの希産バナジウム鉱物を伴って産する。標本ラベルにカルシオ・ボルボータイトとあり、カルシウムを含むバナジン銅鉱といった位置付けか。便覧によればコニカルコ石(コニカルサイト)の類縁鉱物にあたるようだが、詳らかにしない。