320.クーク石 Cookeite (USA産)

 

 

クーク石−USA、AK、逆立ち一番鉱山産
ケンブリッジ大のJ.P.Cooke教授に因む。

 

日本の鉱物ショーも、今ではすっかり年中行事として定着した観があり、多くの鉱物愛好家は顔なじみの標本商さんとの再開を心待ちに、その日を指折り数えているものと思う。
上の標本は、ショーに行く人ならきっと誰でも知っているアメリカの業者の自家採集品である。10年以上前のことになるが、そのお店は水晶の鉱山を持っていて、ここに小さな平板水晶に伴って、緑色の球果状の鉱物が沢山見つかった。なんだか分からなかったので、京都の益富地学会館に持っていったところ、リチウムを含む緑泥石の一種でクーク石と教えてもらったという。博士存命の頃である。

アーカンソー州は名だたる水晶の産地で、余暇に家族で掘るようなサンデー・マイン(日曜鉱山)を含めて、無数の水晶鉱山がある(No.49)。彼らも休みの日になると行楽がてら家族そろって水晶を掘りに通ったそうだ。
なんともうらやましい話とお聞きしたものだが、やがて子供たちが高校生になるとそうした時間を取れなくなり、鉱山も手放されたという。
けれどもいい思い出が残ったに違いない。最近はお嬢さんを連れてショーに来られることがあり、鉱物ファミリーっていいなと思う。

(参考)  まりも入り水晶 
−大分県尾平鉱山コウモリ坑産
まりもの正体はクーク石と言われている cf. No.928 補記3
cf. No.963No.964 (錐面の成長模様)

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