451.オーケン石 Okenite (インド産)

 

 

okenite オーケン石

オーケナイト -インド、プネー産
(実際にはボンベイ近郊マラド-クラール採石エリア産という)

 

オーケン石はトベルモリ石(トバモリ石)の仲間だ。このグループの鉱物はみな希産であるらしいが、希産を希産と感じさせないのが豊穣のインドで、この子だけは今のところよく姿をみかける。仲間のネコ石大江石など、出会う機会がぐんと減るのだが。

標本は巷間に声望高い。魚眼石束沸石の魅力に屈しない剛の者も、オーケン石の前ではふにゃらら骨抜きとなって、思わず指先でちょいとつっつき一緒に揺れてみたい誘惑に、抗う術は我が手にはないと誰ぞやの言う、哀戦士。
なにがいいのか、見かけが真白なるわた雪のような、耳はたき(凡天)のような、ふわふわうささの毛なのがいい。ちょんと触ると微かなためらいとともに撓いそうな、その風情がうささでよい。スタージョンのSF小説みたく、あたかも、触ってぇよぉ〜と語りかける声が聞こえてきそうなのだ。とはいえ加減は必要で、力あまればへたって元に戻らない。まあ、自分の標本で、つんつんやってくれたまえ。
ちなみに私は見たことがないけれど、色のついた綿ボール状のオーケン石が中国やインド産と称して出回っているらしい。人工的に着色したものだ。縁日のカラーミニうさぎじゃないんだぜ。

組成式は、Ca3(Si6O15)・6H2Oと書く。3で割り切れる…と思うが、これが繰り返しの最小構成単位なので、はしょれない。熱すると水分を失い結晶構造が変化して、CaSiO3の組成を持つパラ珪灰石(Wollastonite-2M)に遷移する。(※直近の IMAリスト 2018-Nov には、組成式 Ca10Si18O46・18H2Oが示されている。)

cf. No.875 オーケン石

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