No.72 イゾラ・ベッラ(美ケ島) (ストレーザ3)
ボッロメオ家は 14世紀頃からミラノで金融業を始めて
成功した財閥貴族である。マッジョーレ湖周辺の
土地を購入して、1445年にアローナ公爵家となった。
ミラノ枢機卿や聖人も輩出した旧家である。
(ちなみにアローナはミニヨンの生まれた土地となる。)
イゾラ・ベッラ(美ケ島)はストレーザの湖岸から400mほどの
指呼の間にある島で、幅180m、長さ320m。
1630年頃まで漁師の住む村だったが、
ボッロメオ家のカルロ三世は 1632年、妻イザベラ・ダッダの
ために宮殿を作ることにした。以来、島名は彼女の名に因む。
ミラノの建築家アンジェロ・クリヴェッリが
宮殿と庭園の設計/造営を共に担当したが、
プラハに発したペストがミラノでも猛威を振るったため
工事は中断を余儀なくされた。
後に子孫らが引き継いで、17世紀末にほぼ形がなった。
19世紀前後には多くの王侯貴族を
賓客に迎え、華やかな社交史が刻まれた。
今日、夏のシーズン期間は島全体が観光客に
公開されているが、オフシーズンに入ると
ボッロメオ家一族が滞在することもあるという。
ストレーザの湖岸から望むイゾラ・ベッラ(美し島)
船着き場を上がると宮殿エリア
アルプスから吹きおろして湖水を渡ってくる北風から
島全体を守るように、宮殿は北側に配置され、
南側に10段のテラス(階段斜面)が造られている。
ボッロメオ宮殿。スタッコ(stucco:化粧漆喰)装飾が美しい。
貴石を磨いたパネルを嵌め込んだライティング・デスク。
瑪瑙やラピスラズリがふんだんに使われている。
フィレンツェの細工物かな。
王位の間
ロココ風の玉座
礼拝堂
宮殿の北窓から。
建物のある島はイゾラ・ベスカトーリ(漁師島)。
その手前に落羽松(ラクウショウ、沼杉科)の生えた
小さな無人島がある。
半地下部にある洞窟装飾の間(ラ・グロット)。
柱や天井面が貝殻で装飾されて、洞窟の雰囲気を
醸し出す。薄暗い中にも、湖面から照り返る光が
差し込んで幻想的。湖面が揺れると光も揺れる。
宮殿を出て庭園側に向かう
台形ピラミッド形のマッシモ劇場。
ロココ風のホタテ貝装飾や台柱上の彫像群が美しい。
頂点のウニコルヌス(ユニコーン)はボッロメオ家のシンボル獣。
折しもツツジが鮮やかだった。
白孔雀が放し飼いされている。
イタリア式バロック庭園
10段からなるテラス
夢幻の時よ
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