740.プリスマティン  Prismatine (ドイツ産)

 

 

Prismatine

プリスマティン -ドイツ、ザクセン、シュネーベルク鉱山プッハー坑産

 

ドイツ、ザクセン、ヴァルドハイムの鉄道駅近くの切通しで、珪線石紅柱石によく似た柱状結晶の、成分的には十字石に似た石が発見された。ザウアーによってプリスマティンとして記載されたのは1886年のことだった。
しかし1889年にウシンは、この石がグリーンランド、フィスケナエスセットに産するコーネルピンと結晶学的にも成分的にも同一種とすべきほど相似していることを示した。コーネルピンはロレンゼンが1884年に独立種として記載(1886年に公表)した鉱物である。
以来、プリスマティンは長らく産地特有の柱状結晶形を示す亜種として扱われることとなった。別種とする見解もなかったわけではないが、X線回折による構造解析はこれを否定した。ところがイオン・マイクロプローブ法による分析手法が開発されると、(1970年代末以降)構造的にホウ素が示す挙動の違いが指摘されて、近年再び独立種として再定義されることとなった。プリスマティンは硼素を含むマグネシウムの珪酸塩鉱物ということになる。

画像の標本は、ベルグアカデミー・フライベルクの旧蔵品で、1920-1950年期に使用されたラベルがついている。その頃コレクションに加えられたのだろう。1995年にコレクションが交換放出された時に入手した。この時期にはプリスマティンは再び独立種と認められていた。因みに1991年にプラハで発行され、1993年に独訳された図鑑が手元にあるが、そこではヴァルドハイム産の標本が、"Kornerupin(Prismatin)" として載せられている。

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