ひま話 デンバー自然科学博物館 (DNSM)  その5 (2025.12.30)


コロラド州は鉱産の豊かな土地で、20世紀の中頃までは地元で鉱山関係の仕事に就く技術者が大勢あった。しかし国際競争や環境問題やで新規開発が下火になると、海外に仕事の場を求めざるをえなくなった。そして長いキャリアを海外で過ごし、引退する頃になってようやくコロラドに戻ってくるのが一つの典型となった。
…と、このお話は前にどこかで書いたっけかな?
私の脳裏にはそうした老年のある男性の面魂がイメージとしてあるので…。

レッドビルの銀鉱。
この地域では 1860年に漂砂鉱床の金が発見されて
1877年まで採掘(ゴールドラッシュ)が続いた。
その後 1877-78年に含銀性の炭酸鉛(白鉛鉱)鉱床が
発見されて、シルバーラッシュが始まる。
1880年には約 4万人が住んでいた。
コロラド州きっての銀産地で、
1960年までの産量は 2億オンスに上った。

イーグル鉱山はコロラド州では現役最古の鉱山という。
1912年から安定した稼働が続き、州内随一の亜鉛埋蔵量を誇る。
含銀性の鉛・亜鉛鉱脈が堆積岩層に貫入している。
鉱脈の発見は 1879年に遡る。
黄金色の重晶石結晶が出ることでも知られる。
レッドビルの北約 32キロにある。海抜約 2,750m。

フロントレンジの鉱物と往時の町の写真。
1860年代のゴールドラッシュに始まり、
金・銀鉱を掘り、鉛・亜鉛も採掘された。

クリードはコロラド州最後のシルバーラッシュに
湧いた町。1889年、ニコラス・クリードと
ジョージ・L・スミスがウィロウ・クリークの西で
高品位の銀鉱を発見。この時クリードは、
「聖なるモーゼよ!」と叫んだという。
ホーリー・モーゼズ鉱山のウワサは野火となって走り、
近隣のジムタウン(現クリード)の人口は
1892年に約 1万人に膨れあがり、不夜城と呼ばれた。

火山活動による溶岩流や火山灰が堆積する
サン・フアンのカルデラ地帯。
金・銀・銅・鉛・亜鉛などを含む熱水の作用で
豊かな鉱脈が形成された。
今日見る山容はその後の風化・氷河浸食作用で
生じた形。1870年代に採金が始まり、
鉱山地域としては1900年頃にピークを迎えた。
いくつかの鉱山は 1970年代まで稼働された。

サン・フアン郡産の菱マンガン鉱。
成因的にスイートホーム産に似ていると思しい。

スイートホーム鉱山の蛍石と菱マンガン鉱。
蛍石が主体の標本は案外市場に見かけません。

自然金、いわゆるリーフ・ゴールド。
コロラド州クリア・クリーク郡
アイダホ・スプリングズ、ディキシー鉱山産。

リーフ・ゴールドの群れ。
コロラド州サミット郡ブレッケンリッジ、ファーンコーム・ヒル産。
ジョン・F・キャンピオンの寄贈品(1900年)。

キャンピオン氏はレッドビルでの鉱山業で財産を築いた人物で、
これを資金に1894年にファーンコーム・ヒルの鉱山群を購入した。
彼はコレクターで、面白い形の金標本が採れたら
持ってくるよう、鉱夫らに特別に手当を払っていた。
1900年、デンバー博物館の基金設立を支援し、
初代財団議長を務めた。
この葉状自然金コレクションは 1908年に博物館が
一般公開されて以来の常設展示品。

コロラド州は豊かな銀産により、「シルバー・ステイト」と呼ばれた。
熱水性の鉱脈が各地にあり、塊状をなす銀鉱がみられた。
脈状・自形結晶・ひげ銀・化石置換などの産状の標本を
展示しているが、自形やひげ銀はコロラド州では比較的珍しい。

サミットビル産の自然金のボルダー。
重さ 114ポンド、含有する金量は 
316トロイオンス(約9.8kg)と見積もられる。
現在のレート(¥25,000/g)で計算すると、
2億4,500万円相当の金が抽出できることになる。
(¥1,500/g だった頃がウソみたい。)

中部コロラド州の鉱産物をまとめて展示したウィンドウ。
左側中段に暗青色の石が見えているのはラピスラズリ。
cf. No.579

コロラド州のペグマタイト地域にはガーネットやトパーズ、
そしてベリル等の宝石鉱物が産する。
アクアマリンはマウント・アンテロが有名産地で、
1884年に発見されて以来、現在も産出が続く。
1971年に州の宝石に選定されている。 

左はパーク郡レイク・ジョージ産のアマゾナイトと紫水晶。
いずれも言うことなしの理想的な色合い。cf. No.1030
中央はテラー郡クリスタル・ピーク産のアマゾナイト。
マネバッハ式に双晶している。
共産の曹長石は刃状結晶で、いわゆる
クリーブランダイトと呼ばれるタイプ。cf. No.204
右はアリゾナ州ジラ郡クリスマス鉱山の名産キノ石。
そのうちいつかたぶんギャラリーで解説するつもり。

アマゾナイトの群晶。破面を見ると内部は無色のようで、
結晶面付近だけが淡い青翠色に着色しているらしい。

 

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