1022.ファーデン水晶7(複合形ペア) Quartz Faden & Paired Aggrigates (パキスタン産)

 

 

 

faden quartz paired aggrigates

ファーデン水晶(複合形・平行接合) 例1 
−パキスタン、南ワジリスタン、デラ・イスマエル産
平板形の主晶に対して柱軸の傾いた小晶が、
上部と下部とに接合している。
これらの小晶は互いに平行で、
主晶のファーデン線上から立ち上がっており、
それぞれの結晶内にファーデンを引き継いでいる。

faden quartz

上部の交差晶形(複合形)
挟角約 84度。ただし、小晶の柱面は平板晶の
柱面と平行でない(柱軸回りに旋回した配置)

faden quartz paired aggrigates

主平板晶の背面側からみた画像
柱面同士が平行にならない関係から、
ガルデット式(日本式)双晶ではないことが分かる。

faden quartz paired aggrigates

主平板晶に接合する2ケの小晶(左上と右下)は
柱軸方向が平行(同一平面上)で、
かつ柱面同士も平行になっている。
偶然の配置とは考えにくく、主晶に対して
結晶構造的に法則性を持った接合と思しい。

faden quartz paired aggrigates

主晶のファーデン領域のバーコード模様がよく見えるようにライティングした配置の画像

ファーデン領域の拡大画像。バーコード模様が見られる。

 

faden quartz paired aggrigates

ファーデン水晶(複合形・平行接合) 例2 
−パキスタン、南ワジリスタン、デラ・イスマエル産
通常の柱状結晶(縦)にファーデンが走るタイプのもの。
主晶に対して柱軸の傾いた副晶が上下部で接合している。
これらの副晶はファーデン線上から生じて、
それぞれの結晶内部に白濁部を派生している。

faden quartz paired aggrigates

主晶を回転させて見た配置。
2つの副晶に加えて、主晶に対して狭い挟角で
柱軸の傾いた小晶もいくつか見られる。

faden quartz paired aggrigates

画像上で左右に配置している二つの副晶は
互いに柱軸がほぼ平行で、かつ柱面同士も平行。
やはり主晶に対して結晶構造上の法則性を持った接合と思しい。
主晶に対する柱軸の傾きはいずれも約 65度。

faden quartz

ファーデン領域がよく見えるようにライティングした配置の画像
こうしてみると二つの副晶の平行な柱面(上側の面)は、
ファーデンの傾きに沿っているように見える。

ファーデン領域の拡大画像

 

faden quartz

No.1011の複合形の水晶 再掲。
ファーデン領域がよく見えるようライティングして撮影。
二つの交差小晶はそれぞれファーデン線上から立ち上がっている。

faden quartz

同上。ファーデン領域の拡大画像

 

 

双晶に関するトピックの流れで、いかにも幾何学的な法則性がありそうな複数の結晶の交差接合形をいくつか取り上げた。複合形 No.1005No.1012
次いで、先行して生じたと思しい白濁したシート状の苗床から透明な水晶が族生する標本を示し、その特殊な(1次元的な)形としてファーデンを考えることが出来ないかと提起した。No.1013No.1016
そしてファーデン水晶のさまざまな形を示しつつ、ファーデン線の付近に柱軸の交差する複合形(小晶の傾斜接合)がよく見られることを指摘した。No.1017No.1021

新たに2例のファーデン水晶を示す。これらでは主晶に対して2つの小晶ないし副晶が接合している。小晶(副晶)同士は主晶に対して同じ傾斜角度の柱軸を持ち、互いに平行な柱面を持っていることから、主晶に対して幾何学的な法則性をもって接合していることが明らかと思われる。これらはいずれもファーデン領域から立ち上がっている。
すなわち、ファーデン領域はそのような接合ないし双晶形を高確率で誘導するのであろう。
また No.1011の標本も、同様にファーデン領域から分枝した(傾斜角度の異なる)小晶がいくつか接合した形であることを強調しておく。

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