| 1046.水晶(エレスチャル2) Quartz Elestial (インド産) | 







No.961は窓面のよく整ったフェンスター・タイプのエレスチャル水晶で、いわゆる骸晶形を持つ。No.1045は骸晶的錘面が階段状に伸び、頭部から見るとまるで三連貫入双晶のような形が見られる。こうした錘面は内側が窪み、しばしば「の」の字、あるいは「ム」の字といいたい明瞭な模様(段差)を描く特徴がある。単純な「窓枠」(フェンスター)が生じる場合もあるが、多くはその堤の一ケ所が破れていたり、等高面(というより堤道)が内側に巻き込んでいるのだ。
骸晶の成長機構はすでに No.962で考察しているが、いったん肉眼に明らかなほどの枠(ないし堤)が発達すると、錘面の内側にむけての成長も進行する場合があると思しい。
   
このページの標本はごく軽度の骸晶形態を持つもので、枠の段差は肉眼的であるが、かなり浅い。錘面は内側が窪み傾向だが、一見して一様な結晶面に見えるほどである。平坦な結晶面は成長丘から外周に広がってゆく成長機構によって作られるのが一般的だとしても、外枠から内側が堤道の幅を広げるように埋まっていく機構もありうる、それを示すのがこの標本ではないか、と考える。
  
こんな形状の水晶も、No.1043   
や No.1044のような鱗状(クロコダイル)水晶と同じ「エレスチャル」の名で呼ばれているのが面白い。というかオカシイ。